ねこの月、佳日。
樋口佳絵さんの絵の展示が始まりました。
初日、嬉しくなるようなご感想をいくつかいただきました。
いつも来てくれるお客さまにスペシャルメニューのトーストについて「店に馴染んでて、昔からあったような」と。
美術家の方には「店と樋口さんの絵、ベストマッチだと思います」と言っていただいたり。
わたしは樋口さんの絵が好きです。
樋口さんの絵を見た時に感じる「何か」は、きっと誰の心の中にもある「あのとき」や「あの場所」なのかもしれないなと常々感じています。
樋口さんの使う色調や見つめる焦点が、時空を超えるひとつの杖になり、あのときあの場所に導いてくれるような気がするのです。
美しさ、ユーモア、毒、謎、静けさ、切なさ。
ときに、自分でも思いもよらない反応も起こります。
見たとたんに驚いて涙、という反応もありました。
そういうこともまた、わたしにとって大事な楽しみです。
ねこの月、ねこにまつわる絵や版画のなかにも、頭の片隅にある記憶のような、空想のようなものがそこここに存在しています。
このねこの月にcartaにやってくる樋口さんの絵は格別です。
だって樋口さんがねこを描くのですから。
2016.02.06|日々の手紙
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