初夏のある日

早朝、クルマに荷物を積み込んで
コーヒーの香りに包まれながら
すこしだけ緊張感のあるドライブで現地を目指し
それぞれの土地の朝の空気を吸い込んで
現場の周りをうろうろ散歩して
それから積んできた荷物を降ろし
それぞれ環境の違う場所に
さてどうしたもんか、と悩みながら
ちいさな喫茶カウンターを設営して
カセットコンロでお湯を沸かしてコーヒーを淹れて
いつもと違う顔ぶれのお客さまをお迎えして
時には、盛岡のことを訊かれたり、その土地のことを尋ねたり
日が傾いたら、だいたいその日の喫茶営業はお終い
いそいそと片付けをして
荷物の積み込みをみんなに手伝ってもらって
その土地の空気の残り香に包まれながら
すこしだけ安堵感のあるドライブでcartaを目指し
夜の手前くらいに到着して
その日一人で店を守ってくれた相方と
お互いにその日の出来事を話しながら
二人で洗い物をして
出張道具を仕舞い込む。

初夏、たまたま機会が重なって
ひとりであちこち出張喫茶に出かけました。
行ったことのない土地もあったり
年に一度赴く場所だったり
近場の公共施設だったり
ちょっと緊張もしますが
ひとりだからできる体験もあって
その場所でしか出会えない様々なナニカがあって
予定が合えば、できるだけ出掛けたいと思っています。

cartaという店での、静かな空気
出張喫茶での、風と一緒になった開かれた空気

どちらも今の私たちなのです。

 

2016.07.07|日々の手紙

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